アルザス地域圏 (Alsace)
ヴォージュ山脈のある西側の大部分をロレーヌ地域圏と接し、残りはブルゴーニュ=フランシュ=コンテ地域圏と接している.
ドイツとスイスの国境に接する. 2016年1月1日より、アルザスからGrand Est(グラン・テスト地域圏)の名称となった.
域内面積は日本の兵庫県(約8,394平方キロメートル)と同じぐらい、人口は岡山県(約189万人)とほぼ同程度. 南北に細長く展開し、北部がバ=ラン県(「ライン川下流」の意味)、南部がオ=ラン県(「ライン川上流」の意味)にそれぞれ分かれる.
住民の大部分はドイツ系のアレマン人の一派であるアルザス人(アルザス語:エルザス人)で、人口の43%がドイツ語系(アレマン語系)の一方言であるアルザス語を使う. 住民は通史的に中部フランク王国由来のアイデンティティをもつ. アルザスではライン川の水運を利用した農業・工業がそれぞれ古代・中世から盛んである. また、アメリカやオーストラリアほどではないにせよ豊富に鉄鉱石や石炭を産出する. アルザスの地誌は、中フランクの地誌を代表する.
古代の晩期、東西フランクのはざまにあったころ、アルザスは戦火に焼かれた. 神聖ローマ帝国の領地となってから20世紀まで、アルザスは戦争の度に蹂躙された.
争奪の対象アルザスは地政学上の要衝に違いなかったが、中世のライン川というのは地元の平野全体でぐねぐねと曲がり、また枝分かれして、中州や沼をつくっていた. この不衛生な環境が19世紀の開発で改善されるまで風土病のマラリアを流行らせた.
第二次世界大戦終結以来フランス領である. デグサなどのドイツ系企業施設が立地したこともあり、戦後は厳しいフランス同化政策がとられた. 多くの住民はフランス語とアルザス語のバイリンガルだが、若年層ほどフランス語を多用する. 近年になってフランス政府は同化政策を改めたが、フランス語しか話せない若者も少なくないので、今後の教育方針をめぐる議論は続いている.
ストラスブールは欧州統合の基地として、中央政府や直近のルクセンブルクと連携している.
アルザス通史の著作は地元においてすら希少である. およそアルザス史の公的な記録は欧州統合に水を差さないような形をとっている. フランス人の著したものは、神聖ローマ帝国の時代がまるでなかったかのようにし、フランス革命・ナポレオンおよび各世界大戦でのアルザス解放に紙面を割いている. ドイツ人の著したものは、普仏戦争からナチスドイツの時代を大して説明しないで、神聖ローマ統治下の華やかなアルザスを積極的に描写している. アルザス人が著したものは、ローマ帝国とフランク王国の治世をふまえて神聖ローマ統治下の栄華を西欧全体の成果とみなすが、近現代史を論拠とするドイツ非難とフランス擁護に傾いている. アドルフ・ティエールが普仏戦争敗退後にアルザスを講和の具としたことや、ナチスドイツが侵攻してきたときストラスブールをフランス軍が無人状態で放棄したことなどには言及していない.
地図 - アルザス地域圏 (Alsace)
地図
国 - フランス
フランスの国旗 |
フランス本土は、北は北海、イギリス海峡、大西洋(ビスケー湾)に、南は地中海に面する. 陸上では、東はベルギー、ルクセンブルク、ドイツ、スイス、イタリアと、西ではピレネー山脈でスペイン及びアンドラと国境を接するほか、地中海沿岸にミニ国家のモナコがある.
通貨 / 言語
ISO | 通貨 | シンボル | 有効数字 |
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EUR | ユーロ (Euro) | € | 2 |